
切り絵作家・デザイナー タンタン
Story of Creation
中学生の頃、消しゴムハンコを彫っていた彫刻刀で紙を切ってみたことが、私の切り絵の始まりでした。創作の原点には、芝公園でエジプトやメソポタミアなど紀元前の古代美術品を扱っていた祖父のギャラリーがあります。祈りや願いを宿した品々が静かに並ぶあの空間は、“見えないものの気配”を自然と教えてくれました。
切り絵は、線を足すのではなく、余白を抜いて世界を立ち上げる技法です。光と影が織りなす構造は、人生そのものであり、文明が興り、栄え、やがて消えていく時間の流れにも似ています。その有様は、私の中に刻まれている古代美術品の静かな記憶とも深く響き合いました。作品では、切り絵に金箔・銀箔・錆箔、日本画材、漆黒の背景を重ねています。金箔は光を、切り絵の背景に独自の錆箔技法を施し、侘び寂び、経年の変化を表現、朽ちゆく美を象徴。儚い紙に“時間の層”を宿らせています。
学生時代に通ったキリスト教系の学校では、毎朝礼拝の時間がありました。そこで触れた祈りの姿勢は、人が願いに託す想いや支えのかたちを教えてくれ、日本の神々や死生観を扱う現在の制作にも自然と繋がっています。文化が違っても、祈りは人間の営みや文化形成の核心にある。紙という素材は、大衆的でありながら、祈り・工芸・装飾・芸術という多様な役割を担ってきた特別な存在です。力強く、そして儚い紙の中にこそ、永く続くものが宿ると信じ、私は切り絵を通して“見えないものの気配”や“時間の美”を現代に伝えていきたいと考えています。
主な活動
略歴 / 東洋英和女学院卒業後アメリカ留学 / 株式会社SLD元監査役員
出版歴 / 切り絵工房「鳥・花編」高橋書店より出版
築地本願寺出版社より「華葩しおり」発行
〈受賞歴〉
2006年 New York Art Directors Club入選(美澤修デザイン室コラボ)
2016年 minne×human academy Crystal Decoration 大賞部門賞受賞
2016年 公益社団法人日本図案協会主催「日図展」入選
京都デザイン協会主催「京都デザイン賞」入選
2020年 おもてなしセレクション受賞
〈Art Fair / 職人展 / 産業展〉
2019年 渋谷ヒカリエ PLUGIN 出展
フランス パリ ポルト・ド・ヴェルサイユ 「Who's Next」出展
2020年 フランス パリ・ノール・ヴィルパント 「メゾン・エ・オブジェ」出展
渋谷ヒカリエ「PLUGIN」出展
2021年 ギフトショー東京ビックサイト出展
2022年 Made in Japan In Monaco出展
2024年 New York Hamptons Fine Art Fair
Miami Art Week Aqua Art Miami
阪急百貨店梅田店「日本の職人展」出展
2025年 Scottsdale Ferrari Art Week Fair in Arizona
New York Focus Art Fair
関西・大阪万博 MUFJ工芸プロジェクト 「饗宴!匠が演じる日本美の世界」出展
大阪美術倶楽部「大美現代作家新作展」 出展
タグボート主催Art Fair「Independent Tokyo」出展(東京都立産業貿易センター浜松町館)
<個展・グループ展>
1999年 個展 ギャラリー銀座
2003年 表参道アートスペースリビーナ「サマーアートフェスティバル」主催
2016年 絵本とファッション 高円寺カフェ
2人展「切り絵と書」銀座アートスペース画空間
2023年 麻布十番納涼まつりブース出展
2024年 企画展 Mikazuki Art「猫展」主催
Spring Art 企画展「 S・A・K・U・R・A」主催 Gallery Aoyama
企画展 Mikazuki Art「藤田嗣治と現代作家たち」主催
企画展「花・衣・美」Gallery Aoyama 主催
Summer Art 企画展「ナツノカホリ」Gallery Aoyama 主催
プロデュース出展7月ー8月「SUMMER ART in OMMATSURI SHIBUYA」西武渋谷店
企画出展 麻布十番納涼祭りブース出展プロデュース
Autumn art in 表参道穏田ギャラリー「オータムライフ & The Blue」主催
Winter Art in 浅草寺 歳の市(羽子板市)ブース出展
2025年 Winter Art in 表参道穏田ギャラリー 「WINTER and New Year」主催
企画展「日本画」心斎橋aigallery出展
Spring Art in 表参道穏田ギャラリー 「桜祭」主催
個展「切り絵革命」銀座 Gallery And Links
Summer Art in 心斎橋アイイロギャラリー「Blue Summer」主催
ホノルル ダウンタウン・アート・センター(DAC)[島と島]出展
〈デザインワーク〉
2005年 ファッションブランドcantwo洋服・プレミアムグッズデザイン
2007年 少年社中公演「slow」宣伝美術
2008年 ILLUMS gift shop antina ギフトセット
2009年〜2011年学校法人東洋英和女学院クリスマスカード
2015年 クリロン化成株式会社製造 防臭袋 [BOS] パッケージデザイン
2016年 CARRY SAKASA 切絵デザイン 販売元 Inter Bussines Bridge
2017年 木下牧子 音楽と朗読の世界~芥川龍之介「蜘蛛の糸」宣伝美術
東洋英和女学院中高等部「大島花子チャリティーコンサート」宣伝美術 /
他
〈講師・教材提供〉
2000年 バンタンデザイン研究所 色彩・発想デザイン元講師
ホンダ技研工業イベントワークショップ
セコムホームライフイベントにてワークショップ
2008年 資生堂新商品販売促進企画
横浜英和小学校等にて切絵教材資料提供
2018年 東洋英和女学院小学部切り絵教室
黒須田小学校切り絵教室
下野庭小学校切絵教室
2024年 誠品生活日本橋店切り絵教室
港区立伝統文化交流館切り絵教室
港区学びの達人切り絵教室
<メディア>
1999年 朝日新聞、産経新聞掲載
2000年 関西テレビ朝日ミニドキュメンタリー番組「街角の君達」出演
マガジンハウス出版 MUTTS にてエッセイ連載掲載
2002年 TBS「知っとこ!」出演
TVK「ハマランチョ」出演
2003年 インファス出版STUDIOVOICE「東京ランデブー」
2005年 高橋書店より「切り絵工房」鳥編、花編出版
2010年 東京 紙器取材
2018年 ママ・ユナイテッド掲載
2019年 度東洋英和女学院小学部発行「ぎんなんだより」前期号掲載
2019年 繊研新聞 10月発行「PLUG IN TIMES」掲載
2020年 ユポ・コーポレーションサイト掲載
2021年 春、秋 ショップチャンネル出演
集英社マリソル「働く女のカバン の中身」掲載
2023年 MONACOECOART掲載
2024年 自動車技術会 支部報『高翔』81号掲載
2025年 テレビ東京「なないろ日和!」出演
<ステージアート>
2002年ー2003年
俳優 小林顕作主宰「宇宙レコード」切り絵スライドショー
2005年
音楽イベント「I'll」主催、切り絵アート・舞台構成
音楽と朗読のクリスマスイベント「星の王子さま」主催、切り絵映像・舞台構成 六本木ルーテル教会
2006年
音楽と朗読のクリスマスイベント「星の王子さま」主催、切り絵映像・舞台構成 六本木ルーテル教会「
2015年
韓国ロッテデパート文化交流イベント舞台術・衣装アクセサリー MoA主催
東洋英和女学院中学部芸術鑑賞会 MoA主催
日韓国交回復50周年記念、日本大使館・国際交流基金後援ミュージカル・コンサートイベント「Scrooge」
銀座十字屋クリスマスコンサート会場デコレーション
2016年
よみうり大手町コンサートホール・クリスマスの贈り物 鈴木優人プロデュース 「バロック音楽とともに」
他
2019年
新宿高島屋出展
横浜高島屋出展
2021年
東京都美術館ギフトショップ出品
切り絵と箔の技術特許第 6858417取得
2022年
Paris 日本文化会館ショップPOPUP
2023年
「箔一」ギフトショップ金澤しつらえ
2024年
「箔一」ギフトショップ金澤しつらえ
GREEN GROWERS によるファッションショーにてKIRIEBIJOUを提供。X-SML
日本橋高島屋出展
ジェイアール京都伊勢丹出展
大丸京都店出展
誠品生活日本橋店出展
帝国ホテル1階 Cover the Japan出展
2025年
丸善 日本橋、横浜高島屋POPUP
出品・出展歴 / 六本木ヒルズ森ビル美術館フリー マーケット /プランタン銀座猫展 /
新宿ルミネ2 / 千葉パルコ / うおがし銘茶築地新店Space「会」/ 広尾プラザ / 東急ハンズギャラリー
新宿高島屋 / 横浜高島屋 / 日本場所高島屋 / 大阪高島屋 / 京都伊勢丹 / 西宮阪急 / GEISAI東京国際フォーラム / HJF東京ビッグサイト / New York Manhattan Nolita店舗 / 東京エキュート/大宮エキュート / 京急上大岡店 / 東京ビックサイト 国際宝飾展 (株)エクセレントジェムブース内
東洋英和女学院高等部楓祭バザー / 東洋英和女学院大学キャンパス楓祭
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切り絵作家 が織りなす、
新しいファッションの世界
高校卒業後アメリカに留学し様々な文化の影響を受け、
それに触発されて帰国後に切り絵デザイナーとして制作活動をスタートさせたタンタン氏。
特に中近東文化を中心とした古代美術品から大きな影響を受け、
オリエンタルエレガンスとモダンな作風を主流としている。
ここ数年、 切り絵デザインをファッションに落とし込んだ作品として
ジュエリーの制作をスタートさせ、 軽やかなつけ心地で水に強く、
丈夫な素材で出来ている紙ジュエリー “KIRIE Jewelry” や切り絵 ・ 漆 ・ 金箔の、
3つの伝統工芸技術を用い、 繊細な和洋のデザインの透かし彫りで
アンティーク風にした “HAKU( 箔 )”、
そして金箔の下に見え隠れする黒漆を残す事で古代風にした “FUWARI (ふわり)” など、
それぞれの素材感にこだわり、 古代美術をインスピレーション泉としている
切り絵デザイナーならではのコンセプチュアルな世界観を表現している。
一方、 ファンタジー感溢れる売れ筋商品のデザインも手掛けている。
代表的な商品として、 逆さに開いたり閉じたりすることができる傘ブランド “CARRY saKASA”。
販売元であるインタービジネスブリッジとのコラボレーションにより実現した、
雨の日が楽しくなる月夜の傘は、 これまでにないアートとファッションの融合として、
日常生活の中で楽しむことができるアイテムとなっている。
そして最近では海外での作品発表にも積極的に取り組んでおり、 2019 年フランスのパリで開催されているファッション展示会 “フーズ ・ ネクスト” を皮切りに、 2020 年 1 月には、 同じくパリにて開催されている “メゾン ・ エ ・オブジェ” にも出展予定。日本の伝統工芸技術をファッション&インテリアアイテムに落とし込み、世界で発信していく。 切り絵デザイナータンタンの創作の世界はますます広がりを見せている。
(繊研新聞 10月発行「PLUG IN TIMESより)

